はじめに登壇したのは第二次夫婦別姓訴訟(民法改正訴訟)弁護士の野口敏彦さん。
第二次夫婦別姓訴訟では、民法750条で夫婦同姓を義務付ける現状が、憲法14条1項「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」
における信条の差別だと訴えている。
野口さんは「どのように生きていきたいかは人生に関する信条であり、(民法750条は)信条による差別である」と語った。
つづいて登壇したのはニュー選択的夫婦別姓訴訟(戸籍法改正訴訟)原告であり、サイボウズ株式会社代表取締役の青野慶久さん。
国際結婚は同姓か別姓か選択できるにもかかわらず日本人同士の結婚では夫婦同姓が求められるのは法の下の不平等だ、と訴えた。
青野さんの訴えは2019年3月に東京地裁にて棄却されたが東京高裁に控訴し、2020年2月26日に判決を予定している。
基調講演は、1996年に夫婦別姓制導入を含む民法改正要綱案を答申した法制審の元幹事、小池信行さんによる「法制審議会答申の経緯と、2020 年にふさわしい法改正」。
1996年の法制審議会では「なんらかの制度導入すべき」と大多数が考えており、法務大臣へ答申したにもかかわらず、自民党内での了解が得られなかったため、法案を提出できなかったという。
今後の法改正への期待としては、「自分がどうしたいかではなく別氏を選びたい人の希望を叶えるかどうかの問題。家族の在り方は大きく変化しており、国連から何回も勧告を受けているのは好ましくない」と述べた。
当事者リレートークでは選択的夫婦別姓・全国陳情アクションで活動する全国のメンバーから、別姓を選択したい理由、両親が別姓の家庭で育った子どもの願い、子連れ再婚時の名義変更の負担などが語られた。
勉強会で配布された「あした夫婦同姓・別姓「選べる」になあれ!NO.2 ~そろそろ新しい法律の話をしよう~」という冊子から、選択的夫婦別姓・全国陳情アクション事務局長である井田奈穂さんの文章を引用したい。
”一方で「家族戸籍をバラバラにする」ことへの強い懸念はたびたび伝えられた。
政権中枢のある議員は「井田さんは、家族単位の戸籍を崩すつもりはないんだよね?なら賛成。選択的夫婦別姓は必要だ」とわざわざ確認したほどだった。”
(出典 井田奈穂(2019)「最大限の選択肢が尊重される法改正に」,『あした夫婦同姓・別姓「選べる」になあれ!NO.2 ~そろそろ新しい法律の話をしよう~』2019年9月30日発行, p.12,第2次別姓訴訟@広島応援団発行.)
ここで、『女たちの21世紀』2018年9月号のインタビュー記事を引用してみる。
” 戦後、日本はその反省と同時に「家制度」を解体します。それが日本国憲法であり、新民法です。その際、戸籍は個人単位となるはずでした。
ところが当時の日本政府は「紙不足」を理由にして、当座は個人籍にはできないとGHQに伝えています。結果「戸主」はなくすけれども「筆頭者」は残り、戸籍の単位も「夫婦と未婚の子」としました。「資材が整ったら個人籍に変えていく」との方針は、結局現在まで変わっていません。”
(出典 インタビュー:井戸まさえ,まとめ:濱田すみれ/アジア女性資料センター(2018)「差別撤廃の視点から取り組む重要性ー「ニュー夫婦別姓訴訟」の問題とは何かー」,『女たちの21世紀』2018年9月号, p.14,夜光社.)
戦後75年、日本は未だに紙不足で資材が整わずにいる。
2月14日から始まった選択的夫婦別姓・全国陳情アクションのクラウドファンディングはこちら。
「自分のまま」でも名字を変えても結婚できる選択的夫婦別姓を一緒に実現しませんか?